BARキネマ倶楽部

映画コラム

ムッシュ望月こと望月純夫氏が、おすすめ映画を随時
ご紹介いたします。

※望月純夫氏プロフィール
NPO法人ICAS(活かす)の常任理事。株式ストラテジストとしてラジオ日経に出演中。映画をこよなく愛し、1年間に観る映画は150本以上!洋画邦画のジャンルを問わず幅広く見ることで様々な視点から映画をオススメしていきます。

マレフィセント

『マレフィセント』は、ディズニーの名作「眠りの森の美女(おとぎ話)」を独自の視点から真実の愛を描く実写ファンタジーです。ハリウッドのトップ女優のアンジェリーナ・ジョリー(通称アンジー)は、前半では邪悪な要請、後半では慈愛あふれる美女を演じています。
ある王国で待望のプリンセス・オーロラ姫が誕生し、盛大な誕生パーティが開催されました。大勢の客が城にやってきて祝福する中、招かざる客で邪悪な妖精のマレフィセントが現れ「王女は16歳の誕生日に永遠の眠りにつく」という呪をかけます。王によって森に隠されたオーロラ姫は、穏やかに美しく成長するが、マレフィセントはそんな姫をじっと見守ります。
邪悪な妖精マレフィセントが、何故オーロラ姫に呪をかけたのか、そして呪を解く真実の愛とは、この二つのテーマが、映画を現代的にしています。真実の愛の答えは、驚くほど「アナと雪の女王』に似ています。違いは、生身の美女アンジーの存在感です。尖った角、高い頬骨、黒の衣装と、恐ろしいいでたちですが、何か心の中に潜む優しさが滲むものがあります。オーロラ姫を見守るマレフィセントの母性には、実子、養子を含めて6人の子供育てる実生活が重なって見えます。
ディズニーらしい、幻想的で美しいビジュアルは健在です。終盤には激しいアクションも用意され、物語は一転してハッピーエンドの展開に移ります。オーロラ姫のくったくのない性格、愛らしさこそが、国を治める女王に相応しいと思わされます。
それにしても「アナと雪の女王」といい、今作品といい、役立たずの王子が目立ちます。昨今の女性は、出会ったばかりの白馬の王子様には何も期待はしない、おとぎ話に心を打たれない。そんな時代かもしれませんね。

ブルージャスミン

『ブルージャスミン』は、巨匠ウディ・アレンの最新作で、セレブから転落したヒロインが精神を病む悲喜劇で、ケイト・ブランシェットの演技が見事です。
少し能天気なラブ・コメディから一転、転落人生をシビアに描いています。平凡な名前ジャネットで満足せず、ジャスミンと名乗り資産家の夫とNYでセレブ生活を送っていましたが、結婚生活も資産も全て失い、失意の中サンフランシスコに住む妹ジンジャーの家に身を寄せます。庶民的な妹とは対照的にセレブ気分が抜けないジャスミンは、慣れない生活と仕事で次第に精神のバランスを崩していきます。そんな時、あるパーティで裕福な独身男性ドワイトと出会い、彼こそが自分をもう一度上流階級に引き戻してくれると信じ込んだジャスミンは、虚栄と現実逃避から自分の身の上に嘘をつきます。
ジャスミンが過去の栄光にすがり精神を病むヒロインの物語は「サンセット大通り」「欲望という名の電車」が思い浮かびます。本作のケイト・ブランシェットの鬼気迫る演技派、グロリア・スワンソンやヴィヴィアン・リーと肩を並べる程の熱演です。無一文のくせにブランド物に身を包み、華やかなセレブライフが忘れられないヒロイン・ジャスミンの行動は、すべてがちぐはぐで、その言動は余りにイタく、しかし本人は真剣そのもの、これがまたイタい笑いを誘います。自分のことしか考えないヒロインの悲劇を、どこかコミカルに描いているのが、ウッディらしいと言えます。さらに、ジャスミンが暮らしていた、優雅ですがモラルに欠ける上流階級も、妹が所属する現実的ですが品位に欠ける庶民階級も、両方を冷徹に観察し、その嫌らしい部分をニヒルな会話で描くのもアレン流と言えます。悲惨さと滑稽さが同居する難役をこなしたケイト・ブランシェットは流石の演技で、オスカー賞に値する熱演です。名曲「ブルームーン」のメロディーも上手くマッチしています。

Film Picture

マレフィセント

ブルージャスミン

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